さて、先日ニューヨークにあるガバナーズアイランドで日本の盆踊りを披露するイベントが行われました。その様子と島の魅力を特集します。
ニューヨーク、マンハッタンの南端からおよそ1キロ弱南下したところに浮かぶ、172エーカーの小さな島、ガバナーズアイランド。マンハッタンからはフェリーに乗って8分ほどで到着します。
5月〜10月まで期間限定で一般に開放されていますが、マンハッタンの摩天楼や自由の女神など、ニューヨークならではの景色を眺めながら、のんびり過ごすことができると、近年注目を集めています。
ガバナーズアイランド広報のサラ・クラウトハイムさんに話を聞きました。「ガバナーズアイランドは2世紀近くにわたり閉鎖された島でした。1990年代中頃までは米軍の土地として活用されていましたが、2003年に国からニューヨーク市に1ドルで譲渡され、ニューヨーク市民のために開発を行ないました」
歴史的建造物を残し、都会の喧騒を忘れ過ごせるように、開かれた景色を楽しめる空間を作り出しました。ガバナーズアイランドではどのようなことができるのでしょうか?
「自転車で島中を散策できます。ニューヨーク市内で車を気にせずに自転車に乗れる唯一の場所で人気です。私のお気に入りは公園を散策することです。島の南側に広がる43エーカーの公園では広い空間でパブリックアートなどを楽しむことができます」
そのほかにも、子供も楽しめるアスレチックエリア、ウオーターフロントで景色を眺めながら食事が楽しめるレストラン、さらに宿泊をすることも可能です。また島内ではさまざまなイベントが行われていて、自然に触れ合ったり、体験したり学んだりすることもできるんです。
また、サラさんは、「文化的イベントを行なうことで、多くの人が訪れるようになりました。観客を魅了することができて、無料でみんなが楽しめる、質の高いイベントを行なえる団体と組むように心掛けています」と話してくれました。
このガバナーズアイランドで、先日、日本の夏祭りが開かれました。日本食の屋台が出店したほか、輪投げや、スイカ割りなどを体験することができるブースも登場し、来場者は、日本の文化や風習を楽しんでいました。
そして夕暮れには絶景を望む丘の上で、日本の夏の風物詩、盆踊りが披露されました。
地域によって踊り方や衣装などが異なる盆踊りですが、今回は日本三大盆踊りと呼ばれる、三つの地域の盆踊りが披露されました。日本三大盆踊りとは秋田県の西馬音内(にしもない)盆踊り、岐阜県の郡上(ぐじょう)踊り、そして徳島県の阿波踊りのことをいいます。
西馬音内盆踊りは730年という歴史を持ち、盆踊りの重要無形民俗文化財の第一号。優雅でしなやかな踊りが特徴です。郡上踊りは、侍や農民、身分に関係なく皆で一緒に踊ることを始めたのがきっかけで広まりました。シンプルな振り付けで、皆で踊る踊りです。そして皆さんご存知、阿波踊りも盆踊りの一つです。「前進」する踊り方が特徴で国内最大規模の盆踊りとしても知られています。これら三つの踊りがニューヨークで同時に披露されるのは初めての試みです。
このイベントを企画したジャパン・パフォーミング・アーツ代表の濱田裕子さんは、日本文化を、伝統芸能を通じて紹介する活動をしています。濱田さんは、「公演を何かしてくれないかという依頼がありましたので、それでこちらの場所に連れてきていただいて、ひらめいたのが日本三大盆踊りでした。浴衣を着て踊る。何か同じエネルギーを感じ合いながらその場を楽しんでいくっていうそんな盆踊り。それを文化交流としてあの体験を通して日本文化を感じていただけたらと思っています」と今回のイベントについて解説してくれました。
今回、パフォーマンスを披露したのはニューヨーク在住の有志たち。このために三大盆踊りを学んだそうです。ニューヨーク在住の参加者に話しを聞きました。「簡単そうだけど、奥深いところもあり、皆で一緒にできるのですごく楽しかったです」「真剣に練習しました。難しいけれど踊れたらとても美しい。盆踊りが大好きです。日本の精神的な経験を味わえたようでとてもいい思い出になりました」
来場者は、「すごく良かった。着物がカラフルですてきだった」「美しい景色の中で盆踊りに参加できて楽しかった」と楽しんでいる様子でした。
マンハッタンの夜景を見ながら踊る盆踊りは、幻想的な雰囲気につつまれ大盛況のもと幕を下ろしました。ご紹介したガバーズアイランドは、今年は10月31日までオープンしています。